ポーランドのドナルド・トゥスク首相は12日、首都ワルシャワで開かれた与党連合「市民連合(KO)」の大会で演説し、国境管理および移民政策の抜本的な見直しとして、亡命(難民認定)を申請する権利を地域的かつ一時的に停止する方針を発表した。「管理を取り戻し、安全を確保する」と題された新戦略のもと、トゥスク首相は欧州連合(EU)および北大西洋条約機構(NATO)の対外国境でもあるポーランド東部国境の防衛が最優先事項であると強調した。
ポーランド政府は2021年以降、ベラルーシとロシアが中東やアジア、アフリカからの移民数万人をミンスクへ送り込み、厳重に警備されたポーランド国境へ意図的に押し出す「ハイブリッド攻撃」を仕掛けていると非難してきた。トゥスク氏は、国際的な密航組織やベラルーシ治安当局が不法越境者に亡命申請の手続きを悪用させており、人道保護の枠組みが地政学的な武器として使われていると主張した。
ベラルーシとの東部国境におけるハイブリッド戦争への対抗措置
トゥスク氏は、今年に入りロシアとの国境で亡命申請の受け付けを拒否できる緊急法を制定したフィンランドの先例を挙げ、ポーランドも同様の法的枠組みを導入する考えを示した。この包括的な移民戦略文書は火曜日の閣議に提出され、内閣の正式承認を経たうえで議会での法整備手続きに進む予定となっている。
国境警備の強化に加え、新戦略には「法と正義(PiS)」前政権下で発覚したビザ不正発給事件を受けたビザ審査基準の厳格化や、外国人留学生ビザおよび労働市場へのアクセス要件の引き上げが盛り込まれた。同時に、国内の人口減少や労働力不足を補うため、西欧や北米に居住するポーランド系移民(ディアスポラ)の本国帰還を促す優遇措置も導入される。
“国家は誰がポーランドに入り、誰が出るのかについて100%の管理を取り戻さなければならない。我々の移民戦略の柱の一つは、亡命の権利の地域的かつ一時的な停止となる。” — ドナルド・トゥスク(ポーランド首相)
ブリュッセルでのEU首脳会議に向け欧州連合の承認を要求へ
元欧州理事会常任議長(EU大統領)でもあるトゥスク首相は、ブリュッセルで開かれるEU首脳会議において、ポーランドによる亡命権の一時停止をEU共通の対外国境を守る正当な防衛措置として認めさせる決意を表明した。また、加盟国間で移民の受け入れ分担や金銭拠出を義務付けるEUの新たな「移民・庇護協定」についても、ポーランドの安全保障を損なう条項は一切履行しない姿勢を改めて明確にした。
人権団体からは亡命申請の制限が1951年のジュネーブ難民条約やEU基本権憲章に抵触する恐れがあるとの懸念が出ている一方、国内の政治アナリストは、2025年のポーランド大統領選挙および来年1月から始まるポーランドのEU議長国就任を前に、トゥスク政権が安全保障と国境管理で主導権を握る狙いがあると分析している。
Frequently Asked Questions
ドナルド・トゥスク首相が発表した新しい移民戦略の最大の柱は何ですか?
「管理を取り戻し、安全を確保する」と題された新戦略の核心は、ベラルーシと接するポーランド東部国境において亡命申請を行う権利を地域的かつ一時的に停止することです。
なぜポーランドは亡命申請を一時停止しようとしているのですか?
トゥスク首相は、フィンランドが導入した前例にならい、ベラルーシとロシアが国家主導で仕掛けているハイブリッド移民工作を阻止するために不可欠な措置であると説明しています。

Comments (0)
Log in to join the discussion.