大手格付け会社フィッチ・レーティングスは11日夜、ユーロ圏第2の経済大国であるフランスの外貨建て長期発行体格付けを「AAマイナス」に据え置く一方、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ引き下げたと発表した。ミシェル・バルニエ首相率いる少数与党内閣が、急激に悪化する公的財政を立て直すため総額600億ユーロ(約656億ドル)の歳出削減と増税を盛り込んだ2025年度予算案を発表してからわずか24時間後の決定となった。
フィッチはソブリン審査報告書のなかで、前回4月の評価以降にフランスの財政政策リスクが著しく高まったと指摘した。税収の伸び悩みに加え、地方自治体や社会保障関連の支出が当初予算を上回ったことで、2024年の一般政府財政赤字は対国内総生産(GDP)比6.1%に達する見通しとなり、春季時点の政府目標だった5.1%や欧州連合(EU)の財政規律上限である3.0%の2倍超に膨らんでいる。
税収減と歳出超過で2024年の財政赤字は対GDP比6.1%へ拡大
バルニエ政権は400億ユーロの歳出削減と、大企業や富裕層、エネルギー企業を対象とする200億ユーロの時限的増税によって2025年の財政赤字を対GDP比5.0%へ圧縮する目標を掲げているが、フィッチはこの目標が完全に達成されることには懐疑的な見方を示した。同社は2025年と2026年の双方で財政赤字が対GDP比5.4%の高水準にとどまり、政府が目指す2029年までの3.0%未満への削減は困難だと予測している。
慢性的な基礎的財政収支の赤字と利払い費の増大により、フランスの一般政府債務残高は2023年末の対GDP比110.6%から2028年には118.5%まで一貫して上昇し、「AA」格付け諸国の中央値である61.3%の約2倍に達するとフィッチは試算している。フランス10年物国債(OAT)利回りとドイツ国債(Bund)とのスプレッドはすでに約78ベーシスポイントまで拡大している。
“高度な政治的分断と少数与党政権という状況は、一般政府債務が対GDP比118.5%へ向かって上昇するなかで、フランスが持続可能な財政健全化政策を実行する能力を複雑にしている。” — フィッチ・レーティングス フランス共和国ソブリン審査報告書
バルニエ首相の600億ユーロ財政再建案に立ちはだかる議会の壁
フィッチは特に、今夏の国民議会(下院)総選挙でいずれの政治勢力も過半数を獲得できなかったことによる議会の分断を問題視した。2025年度予算案を成立させるには、野党勢力への大幅な妥協を図るか、あるいは下院の採決を経ずに法案を強行採決できる憲法第49条3項を発動する必要があり、その場合は内閣不信任案に直面するリスクが高まる。
アントワーヌ・アルマン経済・財務相は今回の見通し引き下げを受け、政府が提出したばかりの2025年度予算案はフィッチが指摘した構造的な不均衡に正面から対処するものだと強調した。金融市場の関心は今後、10月25日に予定されるムーディーズおよび11月29日のS&Pグローバル・レーティングによる格付け審査へと移っている。
Frequently Asked Questions
フィッチ・レーティングスがフランスの格付け見通しをネガティブに引き下げた理由は何ですか?
2024年の財政赤字が対GDP比6.1%に拡大する見通しとなった財政悪化と、議会の政治的分断によって複数年にわたる債務削減の実行が危ぶまれているためです。
ミシェル・バルニエ首相が発表した2025年度予算案には何が盛り込まれていますか?
財政赤字を対GDP比5.0%へ縮小するため、400億ユーロの歳出削減と大企業・富裕層向けの200億ユーロの増税を合わせた総額600億ユーロの財政調整策が盛り込まれています。

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