実業家イーロン・マスク氏が所有するSNS「X(旧ツイッター)」の弁護団は、ブラジル連邦最高裁判所(STF)のアレクシャンドリ・ジ・モラエス判事が提示したすべての司法条件を履行したとして、ブラジル全土でのサービス再開を直ちに許可するよう求める正式な申し立てを提出した。2,100万人以上のアクティブユーザーを抱える世界有数の市場であるブラジルでは、8月30日の最高裁命令以来、約1カ月間にわたりXへのアクセスが遮断されていた。

首都ブラジリアの最高裁に提出された書面によると、現地法人「Xブラジル」は最高裁が科した3つの主要条件――ブラジル国内における正式な法定代理人の選任、偽情報拡散などの疑いで捜査対象となった9件のアカウントのブロック、および累積罰金2,860万レアル(約524万米ドル)の全額納付――をすべて完了したと報告した。

総額2,860万レアルに上る罰金納付の内訳

今回の罰金は、マスク氏とモラエス判事の間で数カ月にわたり続いた法的対立の中で段階的に科されたものだ。約1,835万レアルについては9月初旬の時点で、Xブラジルおよびマスク氏の衛星通信企業スターリンク・ブラジルの凍結口座から国庫へ移管されていた。残りの金額には、9月18日にクラウドサーバーの経路変更によって一時的にブラジル国内からアクセス可能となった際に追加で科された1,000万レアルの罰金と、法定代理人に対する30万レアルの罰金が含まれている。

また、8月のサービス停止命令の直接的な引き金となった現地代表者の不在問題について、Xは以前にも同職を務めたブラジル人弁護士ラケル・ジ・オリベイラ・ヴィラ・ノヴァ・コンセイソン氏を再び法定代理人に任命し、サンパウロ商業登記所の認証書類を提出した。

“すべての司法命令に対する完全な遵守を示し、現地の法定代理人を選任し、金銭的制裁の納付を完了したことを受け、Xはブラジルにおけるプラットフォームへのアクセス回復を謹んで要請する。”

裁判所による入金確認と電気通信庁(Anatel)の解除手続き

納付証明書の提出を受け、モラエス判事は裁判所事務局とブラジル銀行に対し、罰金が指定の司法口座に正しく入金されているかを確認するよう命じるとともに、連邦検察庁(PGR)に意見書の提出を求めた。入金手続きの完了が正式に確認され次第、モラエス判事は国家電気通信庁(Anatel)に対し、国内2万社以上のインターネット接続事業者へ遮断解除を指示する命令を出す見通しだ。

法学者やデジタル政策の専門家は、Xが全面的な方針転換に踏み切った背景には、巨大なデジタル人口を抱える主権国家の強い規制権限があると指摘する。Xにとってブラジル市場への復帰は、中南米地域の広告収入を維持し、サービス停止期間中に数百万人の新規登録者を集めた「Bluesky(ブルースカイ)」やメタ社の「Threads(スレッズ)」へのユーザー流出に歯止めをかける上で極めて重要となる。

Sources

X ブラジル最高裁 イーロン・マスク アレクシャンドリ・ジ・モラエス SNS規制 ブラジル