欧州最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲン(VW)とドイツ最大の産業別労働組合IGメタルは25日、北海に近いハノーファーにおいて、過去数十年間で最も激しい対立が予想される賃金団体交渉を開始しました。中国製電気自動車(EV)との熾烈な価格競争や欧州市場全体の需要低迷に直面する経営陣は、最大2カ所の国内工場閉鎖を含む抜本的なコスト削減を求めています。

交渉会場となったヘレンハウゼン宮殿の前には、本社のあるヴォルフスブルクやエムデン、オスナブリュックなどから約3,000人の従業員が集結し、笛を吹きながら「雇用削減ではなく未来を」と書かれた赤い旗を掲げて抗議しました。会場内ではVW側の首席交渉担当者であるアルネ・マイスヴィンケル氏が、主力ブランドの過剰生産能力を解消するには国内事業の縮小が避けられないと主張しました。

30年続いた雇用維持協定の破棄で激化する労使対立の構図

対立の火種となったのは、VWが1994年以来続けてきた雇用維持協定を今月初旬に破棄したことです。経営陣は、欧州の自動車需要がパンデミック前より約200万台減少しており、VW単独で年間約50万台分(工場2カ所分の生産能力に相当)の余剰が生じていると説明し、人員整理の不可逆性を訴えています。

これに対しIGメタルは、対象となる国内6拠点の約12万人の従業員について12カ月間で7%の賃上げを要求。同労組の首席交渉官トルステン・グレーガー氏は工場閉鎖や解雇を断固拒絶し、経営陣によるEV戦略の誤算やソフトウェア開発の遅れのツケを労働者に押し付けることは許されないと反論しました。

“工場閉鎖によって労働者の犠牲の上にコスト削減を図るのではなく、フォルクスワーゲン経営陣は生産拠点のための実行可能な将来像を提示すべきです。”

EV失速と過剰生産能力の是正、労組は12月スト突入を示唆

この問題はショルツ独連邦首相の政権や、VWの議決権20%を握るニーダーザクセン州政府にとっても極めて深刻な政治問題です。同州のシュテファン・ヴァイル首相は、雇用を守りつつ企業の競争力を維持できる現実的な妥協点を見出すよう双方に呼びかけました。

協約上の平和義務により11月30日までは法的なストライキが禁じられています。しかし労組側は、10月の次回交渉で会社側が工場閉鎖案を撤回しない場合、12月1日の平和義務解除と同時に全国規模の警告ストライキに踏み切り、部品および完成車の生産ラインを全面停止させると警告しました。

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