スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)と連邦財務省は、クレディ・スイスを救済買収したことで巨大化したUBSグループAGに対し、規制上の自己資本を大幅に増強させる包括的な法改正案を固めました。新たな規制枠組みでは、スイス唯一のグローバルなシステム上重要な銀行となったUBSに対し、最大250億ドルの追加普通株式等Tier1資本(CET1)の積み増しを義務付けます。
この厳格な規制方針は、2023年3月の金融危機を受けた「大きすぎて潰せない(Too-Big-To-Fail)」規制の徹底的な見直しによるものです。UBSの連結総資産は約1兆7000億ドルに達し、スイスの年間国内総生産(GDP)の2倍を上回る規模となっています。当局は、銀行の破綻リスクを国民の税金で負担することはもはや許されないと強調しています。
スイスGDPの2倍規模に達した巨大銀行とシステムリスク遮断
制度改革の中核となるのは、海外子会社に対する資本裏付け基準の抜本的な厳格化です。現行の規制では子会社投資に対して大幅な自己資本控除が認められていましたが、新制度では米国、英国、アジアなどの海外拠点について親会社が完全な自己資本を配分することが求められます。
さらにFINMAは、過剰なリスクを取った役員の賞与を返還させる「クローバック」権限の法制化や、金融機関に対する直接の行政罰金賦課権など、監督権限の大幅な強化を求めています。
“A banking giant whose balance sheet exceeds twice Switzerland's annual economic output requires rigorous capital buffers and enhanced emergency resolution mechanisms to protect taxpayers.”
議会提出に向けた法制化と金融監督庁の権限強化
UBS経営陣は、過度な国内資本上乗せ規制が米ウォール街の競合投資銀行に対する国際競争力を削ぐ恐れがあると懸念を表明しています。しかしスイス世論および議会各党は、クレディ・スイス破綻の教訓から納税者保護を最優先すべきだとの立場を崩していません。
連邦評議会は正式な法案を連邦議会へ提出し審議を開始する予定です。法案可決後、UBSには留保利益を通じて必要な自己資本を無理なく段階的に蓄積できるよう、複数年の移行期間が設定される見通しです。




Comments (0)
Log in to join the discussion.